現在衆院選の最中であるから、新聞やテレビ、ネットでは候補者たちの街頭演説の様子が頻繁に紹介されることになるが、以前から一つ、目について(気になって)しょうがない事がある。それは一部の候補者の取巻きに見られる「演説中の候補者の背後に立っている人たち」の顔だ。
(ボディーガードのつもりか何か知らないが)如何にもコワモテの彼らの表情や目配り、物腰からは、目の前の聴衆に対する「明確な敵意」すら感じる。(事実、そうなのだろう。)しかも始末の悪いことには、そうした「敵意」は、(つい醸し出てしまったレベルのものではなく)むしろ積極的にアピールされている様子さえ感じ取れる。(つまり威嚇行動である。)
これは集まった聴衆に対して「好印象」を与えたい候補者にとって、背後に「露骨な威嚇行動を行う者」を擁している事自体、明らかなマイナスであろうと思うのだが、もしそうであれば(印象操作に敏感ならざるを得ない)当の候補者自身から即座に「(如何に警備とは言え)もうちょっとその顔、何とかならんか?」という指摘があって然るべきだが、実際そうなっていないということは候補者自身が「それがプラス(=正解)」と考えている証拠だ。つまりその候補者は言わず語らず「聴衆を威嚇しておけ」と言っているも同然か、(こちらは候補者として有り得ない話だが)「どうしようもなく思慮の足りない人物」かのどちらかでしかない。
仮に答えが前者であるとして、どうして候補者が聴衆の前で「睨みを利かせる」必要が有るのか?
それは候補者自身少なからず、聴衆の中に「敵」が多いとの自覚があるからに他ならない。更に何故そう感じるのかと言えば、それはこれまでに「自分自身が(聴衆から)敵視されるような事をやってきた」からに他ならない。そしてその結果として、自身がにこやかに演説する一方で、背後に「お前らナメんなよ」と言わんばかりのコワモテを立たせておくという、まるで一人二役ならぬ「二人一役」とでもいった異様な絵面(えづら)となり、それ自体が「候補者の建前(笑顔)と本音(威嚇)」の様相を呈している。
故に結論として、(如何に美辞麗句、甘事を並べ立てられようとも)テレビや街頭でこんな絵面を見かけたら、「その候補者に投票すべきではない」と思う次第だ。何故なら「安易に聴衆を敵視するような人物」に相違ないだからだ。